栄養と聞いて、あなたなら何を思われますか?“そりゃたくさんの方がいいわよ”、“最近偏食がちだからなぁ”、“私は毎日サプリメントを飲んでいるわよ”、反応はさまざまであると思われます。しかし共通しているのは「栄養は多い方がよい」という常識です。私たちは多かれ少なかれ、栄養は多い方がよいと信じ込んでいます。しかしそれは本当なのでしょうか?そう結論を急ぐ前に、今回は「栄養と健康」について考えてみます。
例えば「カルシウム」。骨を強くするための大切な栄養素と教えられてきました。だから給食では必ず牛乳が出たし、そして小魚をなるべく食べるように言われてきました。牛乳嫌いの人なら鼻をつまみ、さらにはお腹を壊しながらも流し込んだのではないでしょうか。その理由は、一重にカルシウムによる骨の強化にこそあったはずです。
実際に私たちのカルシウム摂取量は飛躍的に増えています。1946年の日本人1人あたりの摂取量は253mg、2000年には531mgと約2倍強となっています。これだけ増えているわけですから、骨は当然強くなっているはずです。しかし実態は1000万人を越える骨粗鬆症患者、そして子供たちの骨の弱体化も言われて久しい事柄です。カルシウム摂取量は増えても骨の弱体化は深刻になるばかり・・・。摂れば摂るほど弱くなる、そうした図式が浮び上がってくるのです。厚生労働省は1日に必要なカルシウムの摂取量を600mgと定めていますが、そのまま信じ込む気にはなれないわけです。
骨の主成分は確かにカルシウムですが、体内への蓄積となるとそれ以外の要素が不可欠です。正常な血流・腸管の吸収力・ホルモン調整機能、太陽光線などの関わりの中でスムーズな吸収が可能になるのです。そのために一番大切なのは「適度な運動」です。運動によって毛細血管が発達し、刺激を受けることで骨は強くなっていくのです。昔の人は栄養が少なくても、今よりも屋外で体を動かす機会が比較にならないほど多かった。だから骨が強靭であったと考えられるのです。単純に部屋の中で牛乳やサプリメントを飲んでいるだけでは丈夫にならない。カンタン・便利に大量の栄養分を持ってきて、即座に健康になろうとする発想にこそ問題があると言わざるを得ないのです。
また見逃せないのが素材のクオリティーです。現代の畜産はエサや抗生物質などの薬剤使用、さらには反自然な飼育法といった具合にさまざまな問題を抱えています。牛乳を飲む以上、こうした点も踏まえておかなければなりません。一方、サプリメントなどの健康食品は確かに便利ですが、製造工程で使われるたくさんの薬剤も一緒に食べている事実を知らなければなりません。そういでない限り、無駄な投資と有害性の連鎖を断ち切ることはできないわけなのです。
生き物は不足には強いが過剰に弱い、これは肥料を使わない自然栽培から学ぶ事柄です。肥料とは栄養の塊を効率よく与えることで、“より速く・より多く”の収穫を求める行為に他なりません。そして与えれば与えるほど虫・病気が発生し、それを農薬で抑え込む、この悪循環から逃れられなくなってしまうのです。有機農業では1反(300坪)あたりに数十dもの肥料が使われるケースもありますが、その量を問う姿勢は極めて重要であると思います。過剰な栄養は作物を弱らせてしまうのです。
人間も同じです。「ビタミンが!アミノ酸が!ミネラルが!」と栄養の過剰摂取は体を弱らせ、クスリへの依存度を高めてしまいます。私たちは良いといわれることをそのまま信じ込むクセを改めなければならないのです。アスベストや赤チンも当時は安全である、その上で使われていた事実に学ぶ必要性を感じます。
自然を知ることは不自然を見抜くことに他なりません。大自然を師とし判断基準とする生き方を体系的に学ぶこと。その際、学ぶべき対象は生命の根幹である「食」と「生活環境」の自然を学ぶことにあるのです。その結果として、医者にも薬にも頼らない暮らしのあり方が見えてくるのです。
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